その昔、筑紫野市には紫草(ムラサキ)という、現在では絶滅危惧種に指定されている植物が咲き覆い、その草の根は紫色の染料として、朝廷へ納める税のひとつに使われ、都にて冠位十二階の最高位になった紫色の染料に使われていたという歴史があります。
筑紫野市商工会は、このことに着目し、市名の由来でもある「紫」をキーワードにした街づくり・商品づくり「紫プロジェクト」を平成19年(2007年)に発足しました。同年6月末に「中小企業地域資源活用促進法」が施行され、それに合わせて「地域資源活用企業化コーディネート活動等支援事業」が創設、「二日市温泉活性化のための九州国立博物館からの顧客誘致と紫をキーワードとした特産品開発」のテーマで採択を受けてのものです。
発足当初は、紫色の特産品(ツルムラサキのグリーンカーテン、紫芋、紫黒米、茄子など原材料)50種類の開発や天拝山・二日市温泉等地域資源利用(紫のまち博覧会)等の開催から始まり、筑紫野市に自生し作付け田(紫田の庄)が点在した紫草栽培を手がけました。
今後は、筑紫野市の紫を歴史のシンボルに掲げつつ、大宰府(太宰府市)に左遷された菅原道真が自らの無実を訴えるために、何度も登頂して天を拝したという伝記が名の由来とされる「天拝山(てんぱいざん)」、その登山口にある、建立が飛鳥時代とも言われる九州最古のお寺、県指定史跡の天台宗「武蔵寺(ぶぞうじ)」、1300年以上の歴史を持ち、万葉の時代から風情あふれる名湯として知られている九州最古の温泉「二日市温泉」、日本遺産に認定されている長崎街道シュガーロード等の歴史的資源も積極的に活かし、地域の振興発展に寄与できればと考えます。
令和6年(2024年)6月29日、紫をキーワードとした特産品を中心に筑紫野市アンテナショップ「つくしちゃんカフェ」を、天拝いこいの館内にオープンいたしました。筑紫野市の特産品である山口しょうがを活用した飲食物や、市内有名店のメニューを用意したカフェの運営も行っております。また、この施設を上記の歴史的資源の観光周遊拠点と機能させていく所存です。
ムラサキ科の植物の一種。多年草で、初夏から夏にかけて白い花を咲かせる。
根は暗紫色で、生薬「シコン」(紫根)である。この生薬は日本薬局方に収録されており、抗炎症作用、創傷治癒の促進作用、殺菌作用などがあり、紫雲膏などの漢方方剤に外用薬として配合される。最近では、日本でも抗炎症薬として、口内炎・舌炎の治療に使用される。
古くから紫色の染料として用いられてきた。色を染めるには、乾燥した紫根を粉にし、微温湯で抽出して灰汁で媒染して染色する。江戸時代には染められた絹を鉢巻にして、病気平癒の為に頭に巻く風習が生まれた(病鉢巻)。
染料の成分および薬用成分はナフトキノン誘導体のシコニン (Shikonin) で、最近ではバイオテクノロジーにより大量生産されて口紅などに用いられている。
万葉集にもその名が出るほど歴史は古く、奈良時代から江戸時代末期まで栽培が行われてきた。しかし、明治時代以降は合成染料の登場により商業的価値を失い、ムラサキ自体も絶滅危惧種レッドデータブックIBにランクされるまでになってしまった。そのため、現在も熱心な愛好家たちが栽培を試みているが、種の発芽率が低い上、ウイルスなどに弱いため、株を増やすのは困難である。このため、現在では中国から近縁種(下記)が輸入され、ムラサキとして流通しているが、ムラサキとの交雑により純正種を脅かすことになっている。【ウィキペディアより】
【歴史一覧】
603年 聖徳太子が官位十二回を定める。
607年 小野妹子遣隋使として派遣
610年頃から 薬猟が各地で始まり
661年 観世音寺の建設が始まり
718年 養老衣服令
727年 大伴旅人が太宰府に就任する
737年 「天平9年豊後国正税帳」に九州各地の紫艸園の記録が残っている。
746年 80年かけて観世音寺の完成
「筑前国続風土記拾遺」の巻之十八に載っている 紫村古い異国より紫艸を持来り此村に始て植え付けるより村名とすといふ。
紫は 灰もさすものぞ 海石榴市(つばきち)の
八十の衢(ちまた)に逢へる児(こ)や誰
(紫染めには灰を入れるものだよ。 その灰を取る椿、海石榴市(つばきち)の辻で出会ったのは誰ですか)
と『万葉集』巻第十二 問答歌 3101番に載っています。
これから、徐々に紫根の歴史についてひもといていきます。
『筑前国続風土記拾遺』巻之十八 御笠郡四(青柳種信編)
紫村
古異国より紫艸を持来り此村に始て植けるより村名とすというふ。民居ハ本村及木免石崎等にあり。
二日市村(ふつかいちむら) (現)筑紫野市二日市・二日市北一-八丁目・二日市南一-四丁目・二日市西一-四丁目・二日市中央一-六丁目・紫(むらさき)三丁目・同七丁目・湯町二-三丁目・塔原東(とうのはるひがし)一丁目
北西流する鷺(さぎ)田(た)川上流部、高尾(たかお)川流域の平野部にある。北は宰府(さいふ)村・片野(かたの)村(現太宰府市)。日田街道が北西から南東へ通り、筑前二一宿の一つ二日市宿があった。村名の由来はかつて月に二日市が立ったことによる(続風土記)。交通の要衝に位置する大宰府膝下の市として発展していたと考えられる。
紫村(むらさきむら)
(現)筑紫野市紫一-七丁目・紫・二日市北一丁目・同四丁目・同八丁目・二日市中央三-四丁目 二日市村の南、鷺田川支流高尾川流域の平野部にある。日田街道が北西から南東へ通る。中世の紫(むらさき)田庄(だのしょう)・紫庄(むらさきのしょう)の遺称地。
紫(むらさき)田庄(だのしょう)・紫庄(むらさきのしょう)
現紫を遺称地とする庄園。古くは紫田とも称していた。保安元年(一一二〇)六月二八日の観世音寺領文書目録(筒井寛秀氏所蔵文書/平一一)によれば、同年奈良東大寺の末寺となった観世音寺(現太宰府市)が注進した寺領の書写案文のなかに「紫田・高田庄例文一通」がある。また仁平三年(一一五三)四月二九日の東大寺領諸庄園文書目録(慈光明院文書/平六)には治安三年(一〇二三)の同庄例文があったとあり、紫田庄が観世音寺領となったのは治安三年以前であった。同寺領紫田庄は保元三年(一一五八)六月一二日の観世音寺文書召文(国立公文書館内閣文庫観世音寺文書/平六)などでも確認される。ただし観世音寺領紫田庄を現紫に比定できるかは判然としない。
いっぽう安楽寺草創日記によれば、治安二年に安楽寺(太宰府天満宮)菩薩院が修造された際「紫田五十町」が寄進された。観応三年(一三五二)書写の安楽寺領注進状に紫田庄が記される。
永禄三年(一五六〇)八月一九日書写の御祭騎馬貫首支配帳(大鳥居文書/天一五)では「子午卯酉」の年に御祭騎馬貫を供出する庄園のなかに「紫」がみえ、安楽寺の祭礼費用を供出する庄園であった。
※写真:西鉄天神大牟田線・紫駅前の石碑
【冠位十二階】
十二月の戊辰の朔壬申に、始めて冠位を行ふ。大徳・小徳・大仁・小仁・大礼・小礼・大信・小信・大義・小義・大智・小智、并て十二階。並に当れる色の絁を以って縫へり。頂は撮り総べて嚢の如くして、縁を着く。唯元日には髻花着す。
史料1 『日本書紀』推古天皇十一年(六〇三)十二月五日条
【律令におけえる紫色】
衣服令で位階によって着衣の色が規定された。
※服色の種類と序列
白…天皇、黄丹…皇太子
紫、蘇方、緋、紅、黄橡、纁、蒲萄、緑、紺・縹
※当色と禁色
当色…衣服令で位階によって規定された服色
禁色…自己の当色以上の服色
平安時代以降、勅許がなければ着用できない服色の意。七色。
①深紅色 ②深蘇方色…人事の天皇・上皇の御料 ③支子色…天皇の御料
④黄丹色…皇太子の袍の色 ⑤赤色…上皇の袍の色 ⑥青色…天皇の袍の色
⑦深紫色…親王・諸王・諸臣一位の袍の色
【律令における紫色】
凡そ服色は、白、黄丹、紫、蘇方、緋、紅、黄橡、纁、
蒲萄、緑、紺、縹、桑、黄、揩衣、秦、柴、橡墨、此の如き属は、当色以下、各兼ねて服すること得。
天拝山歴史自然公園内に位置する公園管理棟、休憩施設です。どなた様もお立ち寄りいただけます。
館内には、筑紫野市の公式マスコットキャラクター「つくしちゃん」の名前が入った「つくしちゃんカフェ」が営業中。筑紫野市のアンテナショップとして、また登山後の休憩スポットとして親しまれています。
公園内には、四季折々の花々を楽しめるしょうぶ園やあじさい園、つつじ園などがあり、自然と歴史に触れることができます。公園内の散策や天拝山への登山の際には、ぜひ「天拝いこいの館」に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
バリアフリートイレ、授乳スペースやおむつ替えのスペースも用意、2階は貸会議室に広めの研修室もあります。ご遠慮なく「つくしちゃんカフェ」スタッフにお声かけください。
筑紫野市のアンテナショップとして、天拝山歴史自然公園内に位置しています。店内では、筑紫野市の特産品や工芸品を販売しており、カフェスペースでは地元の飲食店の食事や飲み物を楽しむことができます。
メニューには、鯉・うなぎ専門店「鯉ひろまつ」のうな丼や鯉こく、カレーやうどんの軽食類も充実、ドリンクメニューとして「二日市温泉珈琲」や「紫ジンジャースカッシュ」など、地元の特色を活かした飲み物も提供しています。
天拝山歴史自然公園での散策や登山の後に、つくしちゃんカフェでひと息つくのはいかがでしょうか。
筑紫野市の公式マスコットキャラクター「つくしちゃん」は、平成4年(1992年)に市制20周年を記念して誕生しました。そのモデルは、二日市温泉に伝わる伝説上のお姫様「瑠璃子姫」です。明るく元気いっぱいなしっかり者で、二日市温泉が大好きなキャラクターとして、市と子どもたちの未来を応援しています。
令和6年(2024年)には、より子どもたちに愛されるキャラクターを目指してリニューアルが行われました。市内の中学生約1,000人にアンケートを実施し、デザインの改良や新たな仲間の追加など、多くの意見を取り入れました。その結果、茶トラ柄の猫のキャラクター「むさし」が新たに加わりました。
また、つくしちゃんにはテーマソング「つくしのロックンロール」があり、筑紫野市ちくしの少年少女合唱団が歌っています。この楽曲は、アコースティックロックグループ「チキンナゲッツ」によって制作されました。